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物件のことは大下が伝授!
大下 達哉 株式会社 さくら事務所
日々のインスペクションの現場から、重要なポイントをお伝えします。
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| プロフィール |
これは、ときどき私が、ご依頼者に投げかける質問です。ちょっと意地悪な質問ですね。
質問の答えは、「建物が壊れるまで取り替えないです。」という方がほとんどです。
10年ごと、あるいは20年ごとなど、定期的に建物の断熱材やサッシを交換するという方は、これまで聞いたことがありません。
●断熱材やサッシを交換するのは大変だ
断熱材を交換するためには、壁のクロスや、下地となっている石膏ボードを剥がす必要があります。そのためには、家に置いてある家具を移動させてなくてはなりません。工事では音も埃も出ますから、大規模リフォーム以外、断熱材の定期的な交換は、現実的にかなり困難です。
建売物件や建物の断熱に詳しくない建築会社の建物では、家全体において、断熱材にかかっている材料費が、10万円程度となっていることが少なくありません。建物の仕様書を見たとき、壁や天井の断熱材が、グラスウール 10k 100mm厚あるいはそれより薄くなっていたら、断熱にお金のかかっていない建物です。
●エアコンは、何年で交換しますか?
今日、家を建ててエアコンを取り付けないという方は、極めてまれでしょう。
実際、エアコンの普及率は約9割です。これは、主要耐久消費財の中で、テレビに次ぐ2位で、携帯電話や乗用車の普及率を上回っています。*1
消費動向調査によると、エアコンの買い替え年数は10.4年です。買い替え理由の約6割は故障ですので、エアコンの寿命も10年程度ということでしょう。
エアコンの金額ですが、リビング用のものは10万円前後だと思います。やや大きめのエアコンや高機能タイプの場合、10万円を超えるものもたくさんあります。エアコンが、家に1台のみということは少なく、リビング以外にも、寝室や子供の部屋にもエアコンを取り付けるでしょう。
そうすると、エアコンの総額は30万円程度になる方が多いのではないでしょうか。
●交換できないサッシや断熱材。10年ごとに交換するエアコン
建売物件や、建物の断熱に詳しくない建築会社の建物では、断熱材にかけられている費用は10万円程度と先に述べました。しかし、建物に取り付けるエアコンの総額は数十万円です。
壁の中の断熱材は、ほとんどの人が交換しません。熱が逃げやすいサッシも同様です。
これに対し、エアコンは10年程度で交換する人が多くなっています。
このように考えると、お金を断熱材やサッシのグレードアップと、エアコンどちらに使うべきでしょうか。多くの人は断熱材やサッシにお金を費やした方が効果的だと思うのではないでしょうか。
●エアコンの面積の目安って、どんな建物が基準なの?
家電量販店に行くと、エアコンの能力の目安が、8畳用、10畳用、12畳用などと書いてあります。
実はこの面積の目安は、古い(省エネ性に劣る)建物が基準となっています。なぜなら、エアコンは新築での需要よりも、既存住宅の買い替え需要の方が3倍程度大きいからです。
「8畳用と書いてあるのに、全然効かないじゃないか!」と言われないようにエアコンを設計すると、古い(省エネ性に劣る)建物を基準とするのは仕方ありません。
これを逆に言うと、新築で省エネ性に優れた建物であれば、カタログに書いてある面積よりもずっと広い面積を、冷やしたり温めたりすることが出来ます。実際に、省エネ住宅では、カタログ値の2倍以上の面積で使うことは珍しいことではありません。
このように、壁の中の断熱材やサッシにお金をかけて断熱性能を上げると、購入するエアコンそのものを小さくすることが出来ます。
●最低限、次世代省エネルギー基準を満たそう
東西南北の4面に加え、床と屋根が外気に面する一戸建ては、マンションよりも外気に触れる面積が広いため、暑さ寒さを感じやすくなります。「一戸建てはマンションより寒い」と言われるのはこのためです。
建物の省エネルギー基準には、最も新しいもので「次世代省エネルギー基準」というものがあります。最も新しいといっても、1999年に作られたものですので、既に10年近い基準です。
新築の建物において、この次世代省エネルギー基準を満たしているものは、半数にも満たないと言われています。もし貴方が検討されている建物が、次世代省エネルギー基準を満たしていないのであれば、エアコンに費用を投じる前に、建物全体の性能アップにお金を使い、最低限次世代省エネルギー基準を満たすようにしましょう。
月々のランニングコストが減ると同時に、快適性を向上させ、CO2を減らすことが出来ますよ。
*1 消費動向調査 平成19年3月実施調査結果